ニュース 『デッドアイランド2』発売延期の裏側——プレイテストが8年間も続いた理由

『デッドアイランド2』発売延期の裏側——プレイテストが8年間も続いた理由

by Grace Sep 29,2025

初期プレイテストのフィードバックで明らかになった『Dead Island 2』の開発遅延

Develop:Brightonカンファレンスで、元Deep Silver広報責任者のマーティン・ウェイン氏は、『Dead Island 2』の8年にわたる開発期間の背景を詳細に説明しました。長引いた遅延の原因と、波乱に満ちた開発経緯を追います。

初期プレイテストのフィードバックで明らかになった『Dead Island 2』の開発遅延

2015年の急ぎリリースはブランド評価を損ねていた

『Dead Island 2』の開発課題

高評価を得たホラーRPG『Dead Island』の続編は、2023年の発売前に大幅な改訂を経ました。開発期間の長期化は知られていましたが、Deep Silverは具体的な原因について長らく沈黙を守っていました。現在GameFlexでコンサルタントを務めるウェイン氏は、Develop:Brightonのプロダクトマーケットフィットに関するセッションで重要な示唆を明かしました。

ケーススタディとして『Dead Island 2』を取り上げ、ウェイン氏は開発チームが生産を中断し、プレイヤーリサーチを活用して軌道修正した経緯を説明。2014年にDeep Silverの広報責任者として在籍中、Yager Studiosと実施した初期プレイテストでは壊滅的なフィードバックが得られ、出版社が続編の方向性を全面的に見直す結果となりました。

2014年E3で公開されたトレーラーは、前作からのトーンの変化をほのめかし、スタイリッシュな明確さを導入していましたが、最終的には満足のいくゲームプレイには繋がりませんでした。プレイヤーが期待外れのコアメカニクスを体験すると、初期の熱狂は急速に冷めました。

『Dead Island 2』プレイテスト結果

トレーラーの初公開は成功したものの、続くプレイテストでは悲惨な結果が。テスターからは「オリジナルの『Dead Island』体験と乖離している」「楽しめず没頭できない」という報告が相次ぎました。

Deep Silverがメカニクスの改良を試みると、問題はさらに悪化。大規模なユーザーリサーチにより、プレイヤーの期待と開発チームのクリエイティブビジョンとの根本的なズレが判明し、この溝が拡大した結果、Yager Studiosがプロジェクトから離脱することになりました。

ウェイン氏の説明は、Yager Studiosのティモ・ウルマンMDが2015年に述べた「創造的な相違」に関する声明と一致しています。「時に厳しい決断が必要です」とウェイン氏は振り返りました。「収益は上がったかもしれないが質の低い製品をリリースすることもできたでしょう。しかしそれはフランチャイズに永続的なダメージを与えたはずです」

複数スタジオに渡る困難な開発の旅

『Dead Island 2』のスタジオ変更

2023年にようやく発売されるまで、『Dead Island 2』は3つの異なる開発チームを渡り歩きました。オリジナルクリエイターのTechlandが最初に続編を構想しましたが、後にワーナーブラザーズの『Dying Light』シリーズに注力する方針に転換。

Yager Development(『Spec Ops: The Line』)が引き継いだものの、創造性の相違が表面化。Sumo Digital(『LittleBigPlanet 3』)が2016年から2019年まで開発を担当しましたが、公開情報は極めて限られていました。

『Dead Island 2』最終開発

Dambuster Studiosは2018年参加後、ゲームを一から再構築。2022年にデビッド・ステントンスタジオディレクターがこの全面刷新を確認しました。

「商業的成功が我々の決断の正しさを証明しました」とウェイン氏は述べています。「真にプレイヤーを満足させるゲームを作ることが、長い開発期間を正当化したのです」

最終製品は2023年に主要プラットフォームで成功裏にリリースされ、批評家の称賛を獲得。2024年10月までに1000万人のプレイヤーを達成、2025年2月までに400万本の売上を記録し、Deep Silver史上最も成功したタイトルとなりました。